« 2011年12月 | トップページ | 2012年6月 »

2012年2月18日 (土)

2012公共交通フォーラムを開催しました!

  災害と交通“帰宅困難者問題を考える!”
1. 日時:1月29日(日) 13:30~16:40
2. 会場:横浜情報文化センター6F・情文ホール 

●第1部 
①特別基調講演 
 「災害にまけない都市と交通のあり方」
 中村文彦氏 横浜国立大学・大学院都市イノベーション研究院教授
②基調報告
 「帰宅困難者問題の検証と課題」
 室井寿明氏 (財)運輸政策研究機構・調査室調査役
   
●第2部 進行役 阿部 等 (株)ライトレール代表取締役社長
①「帰宅状況調査」の分析結果を報告
 小田部明人 横浜の公共交通活性化をめざす会・事務局長
②行政、バス事業者、鉄道事業者、企業からの報告
 ・木村文男氏 横浜市消防局危機管理室・危機対処計画担当課長
 ・須藤秀樹氏 横浜市交通局自動車本部・運輸課長
 ・和田潤一郎氏 相模鉄道経営管理室・広報担当係長
③「次の大震災への備え」
  阿部 等 (株)ライトレール代表取締役社長

●質疑応答 会場の参加者との質疑応答
●講評 中村文彦教授

2012_0129_150656cimg2147_2

 1月29日(日)午後、「横浜の公共交通活性化をめざす会」と「横浜にLRTを走らせる会」の主催で「2012公共交通フォーラム“災害と交通”~帰宅困難者問題を考える~」が、横浜情報文化センター・情文ホールで開催され110名の参加者が集まりました。昨年の3月11日に起きた東日本大震災で、首都圏では300万人とも言われる帰宅困難者が生まれました。全ての公共交通はストップし、道路は大混雑しました。その時、人々はどう行動したのか?交通事業者はどう対応したのか?行政は?。3月11日を検証し、その教訓を生かし、切迫する次の災害にどう備えるのか?その課題を提起するフォーラムです。
 
 フォーラムの第1部の特別基調講演では、都市交通計画が専門である横浜国立大学の中村文彦教授が、「災害に負けない都市と交通のあり方」と題して、1、東日本大震災から学ぶ「都市と交通」2、災害に負けない、という考え方 3、これからの横浜のまちづくりに向けて、という観点で話をされました。
 教授は「震災直後は鉄道が止まり、バスが大きな役割を果たしたが、バスや緊急車両の走行を優先するなどの交通規制がほとんどなかった。災害時には通行する車の優先順位をつけて道路を規制する必要がある」「日常の備えとして関係主体間の普段からのつきあい、連携、取決めが大切」などと強調されました。
 
 (財)運輸政策研究機構の室井寿明調査役は、「帰宅困難者問題の検証と課題」と題して、
1、帰宅困難者問題の背景と実態 
2、鉄道運行再開に長時間かかる理由 
3、鉄道の長時間運行休止が及ぼす影響 
4、多数の帰宅困難者の発生かがもたらす課題
を当日の臨場感溢れる映像を駆使しながら分かりやすく報告されました。特に、運行可能な代替路線に利用者が集中し、それが路線全体に影響を及ぼしてしまい、大量の徒歩移動者を発生させ、また、大量の歩行者が道路上に溢れ、車の大渋滞を引き起こした原因になったと分析、事業者は長時間の運休をさせない工夫をすべきだと強調されました。
 
 第2部では、横浜の公共交通活性化をめざす会の小田部明人事務局長が、昨年、同会が市民を対象に実施した3月11日の帰宅状況調査の市民アンケートの分析結果を報告されました。165人の回答があり、当日どう行動したのか、今後の災害にどう対応すべきか、など貴重なデータとなりました。 
  調査結果の概要は こちら 

 行政、バス事業者、鉄道事業者が報告!
 最初に横浜市消防局危機管理室の木村文男危機対処計画担当課長が、横浜市の防災対策として、1、東日本大震災について 2、横浜市の被害状況について 3、横浜市の災害対応状況について 4、横浜市の震災対策について 5、帰宅困難者対策について 6、横浜市の津波避難対策について、を報告しました。帰宅困難者の対応では、当日パシフィコ横浜や横浜アリーナなど56ヶ所に約25,300人を宿泊してもらったが、物資の備蓄倉庫が離れていたため、すぐには対応出来なかったなどの反省から、今後の対応としては、一時避難施設を民間事業者の協力を得て、各区に多くの施設を指定するなどの対策を進めていると報告されました。
 横浜市交通局自動車本部の須藤秀樹運輸課長は、横浜市営バスの当日の対応を、地震発生直後の14:55には、バス無線で全車に安全な場所に一時停車を指示し、その後、様々に対応して、最終的には信号機の不点灯等で安全確保が困難な路線を除き、19時前には再開を指示して、可能な限り当日の運行を確保した。また11路線では、終夜運行を行うなど市民の足の確保に努めたと報告されました。
 相模鉄道経営管理部の和田潤一郎広報担当係長は、地震災害等の防災対策に関する課題として、1、帰宅困難者対策 2、早期運転再開を目的とした迅速な点検方法の再検討 3、
津波に関する対応方法の見直し、を挙げて、帰宅困難者の受入れと備蓄に関する鉄道会社の課題を、
◎駅施設の特徴と受入れの課題 ①駅の基本構造に関する問題 ②施設の安全確認 ③受入れ対応に係わる人員不足
◎駅施設の備蓄に関する課題 ①大きな費用負担 ②備蓄スペースに関する課題 ③配布に係わる人員不足、などを分かりやすく報告されました。他の鉄道会社よりもいち早く運行再開出来る態勢を整えたと強調されていました。

 最後に、(株)ライトレールの阿部 等代表取締役社長は、「次の大震災への鉄道の備え」と題して、最近発表した論文の中で、大震災に備えた都市鉄道の再構築を提案し、想定される最悪の事態に対する減災対策を提案しているとの報告と、列島強靭化のために備蓄食料のおかゆ「ひとめぼれ」を同社で販売したところ、大変好評で売れているとのことでした。
2012_0129_163214cimg2150

会場の参加者から質問・意見が相次ぐ・・・
①震災時には情報がほとんど取れなかったが、今後、横浜市としてどう発信するのか?
②どこに避難していいか交番に聞いたが分からなかった。どこへ避難するのか?
③相鉄や関係者などの対応は親切だった。最終的にはパシフィコ横浜に避難出来た。
④道路の混雑状況などの情報が欲しい。
⑤関係者の普段からの連絡態勢が大事。災害対策に市民意見が採用されていない。
 
 中村教授の講評・・・
最後に中村教授に講評をお願いしました。「そもそもの帰宅困難者の問題について、帰らなくては、と思う背景のひとつには、安否の確認の問題があったし、鉄道の運行などについての情報の取得の問題もあった。仮に、すべての人がスマートフォンで、緊急時でもすべての情報がとれていれば、行動も異なっていたかもしれない、そういう意味では、情報技術の進展を強く期待したい。いろいろな機能が小規模分散になっていることも必要かもしれない。一時的に避難できる場所が分散していること、ストックの保管場所も分散していることなどが、いざというときの強さにつながるかもしれない。そして、たとえば出かけた先で被災したとしても、どう避難すればよいか、全国的な共通ルールがあって、たとえば必ず500m以内に避難場所があって、たとえ居住者でなくても避難できる、ということが、共通認識として、誰もが把握していれば、きっといろいろ異なったかもしれない。そういうことをすべて含めて、リダンダント、レジリエントに加えて、スマートということが重要だろうと改めて学べた。普段づきあいを大切にし、スマートになっていくことが、日本をより強くしていくのだろうと思うし、それはすべきだし、できると、気持ちを強くしました。」(報告:清水康二)

| | コメント (0) | トラックバック (0)

「帰宅状況調査」アンケートからの意見・エピソード

 東日本大震災当日は首都圏においても帰宅の足が途絶え大混乱となりました。また秋には台風による交通機関の混乱もあり、「帰宅困難者」の言葉が多くのメディアに登場しました。
当会と「横浜の公共交通活性化をめざす会」では、昨年の夏から秋にかけて、3月11日当日の帰宅状況についてアンケート調査を行いました。これは地震発生後の移動状況、帰宅経路の実態を把握することで、今後の同様な事態発生に備えた検証のための基礎データとするものです。
調査にご協力をいただいた皆さまにはあらためてお礼申し上げます。

 今回のような事態に遭遇した際は、家族の安否確認が先ず第一で、そのためには通信手段の確保が大切であり、そうすればむやみに行動せず、職場等に安心して留まることができるとの声が多く寄せられました。またバスの存在価値を見直した、公共交通の役割の重要性をあらためて認識したなどの意見も複数あり、更には、災害時における緊急車両やバスの走行環境確保のための通行規制の見直しをすべきとの指摘もありました。

《 当日のエピソードや寄せられたコメントから》
 調査回答者から、多くの意見や当日のエピソードが寄せられた。
(外出先からの帰宅に関し)
・状況が落ち着くまでは無理に移動せず、職場などに留まることが必要
 との声が多かった。(家族の安否確認が前提)
 そのためにも、職場での備蓄や連絡手段の確保が重要となる。
⇒ 当日がウイークデイであった場合、数字がどう変化するか注目
(鉄道事業者の対応に関し)
・JRが駅構内を閉鎖したことに対する意見が多い(横浜駅は開放され
 ていた?)。運行はともかく、避難・休憩所、情報提供の役割を担う
 べきとの声。また私鉄を含め、駅の案内が適切でなかったとの意見。
(情報の取得に関し)
・多くの者が、正確な情報入手の大切さを実感している。固定電話、携
 帯電話が不通の中、メール・PHS、ツイッター、スカイプ等の手段
 により通信が確保できたとの報告がされている。
⇒上記にもあるとおり、家族との連絡が確保され安否確認ができれば外出先に留まるとの判断になると思われる
(公共交通について)
 ・その役割や重要性をあらためて認識したとの声が多い。特にバスの存在を見直すと共に、緊急車両やバスのために一般車両の通行規制を強化すべきとの意見。一方で自家用車での家族の迎えに対する反省も。
⇒バスを円滑に運行させるために、市民サイドの理解と協力が不可欠
(その他)
・徒歩での帰宅に際し、トイレ利用(切実)に関するコメントが多い。
・自転車への期待や自転車を利用(購入)して帰宅した事例の紹介も。
・帰宅困難者でも待機先でボランティア活動の担い手になるとの指摘も。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

« 2011年12月 | トップページ | 2012年6月 »